「耐震補強」

マグニチュード9.2...

耐震化の基本的な考え

マグニチュード9.2というとんでもない地震が起きてしまいました。
地震への恐怖の中で耐震設計に求められる物は何か?私の耐震化の基本的な考え方をまとめておきます。

まず、私は最近流行の耐震グッズは信用しない。人の恐怖心へ付け込むような耐震グッズは使いたくもないし、ボンドを使って接着での耐震などというものは 他の業界の人に聞かれば笑われてしまいます。耐震化として 無いよりは丈夫程度に考えておきたいものです。基本的にはステンレスボルトを使うなど物理的な耐震をお勧めします。

◎ ボンドによる耐震の有効期間は長くて15年程度、施工が悪いと5年前後
特別な契約でも無い限り、法的にはお墓の保障期間は5年程度です。業者の責任期間として対応してます。

耐震の概念其の物も知る必要があります
耐震とは、建築許可が必要な建造物を作る時、安全面から耐震構造が必要になります。お墓に建築許可が必要な場合は殆どありません。
建築許可が必要無いから不可思議な耐震がまかり通る?

「どうして耐震の実験でお墓が倒れないか?=倒れ易いスピードで揺らしていないから」

倒れ易い振動については研究されませんね。倒れ易い振動で耐震化は無理なんでしょうか?能登地震を見ると周波数は1.5秒前後が倒れ易いようです。
1秒以上は長周波といって遠くまで振動が伝わり広域に大きな被害を出すという特徴も持っています。
実験台で「震度7で倒れなかった!!」などと書かれた宣伝には注意しましょう。

以下、耐震を考える時の簡単な考え方を書いておきます。


・お墓は簡単には倒れない

覚えておきたい数値です
(耐震構造の無い今までのお墓の場合。気象での震度の基準でもあった。)

震度7 90%のお墓が倒れる(10%は倒れない)
震度6 60%のお墓が倒れる(40%は倒れない)
震度5 30%のお墓が倒れる(70%は倒れない)
震度4 お墓は倒れない

本来お墓は耐震性に優れた建造物です。先人の経験から生まれた知恵の賜物です。

しかし、実際大きな地震ではお墓が倒れています。どういう対応が必要か良く考える必要があります。


構造計算ではお墓の棹は
震度7の横揺れでは倒れない。


振動で横にずれながら落ちていく?。
能登地震(震度6.9)にて。


ボンドやボルトなどで底をずれなくすると
倒れやすくなる?

地震の横揺れで お墓は少しずつずれていくが なかなか倒れない。耐震化で棹の底を固定すると余計倒れやすくなる?能登地震では短い心棒やボンドに足元をすくわれ倒れたと思われるお墓がいくつかありました。棹石には1t~2tの力がかかると言っていた研究家もいます。耐震とは実は簡単ではない。
私は、ステンレスのアンカーボルトを使いお墓の倒れ難さを補助しています。
(ステンレスは使い方により、1cm×1cmで5tに絶えます。取り付け方法にはあと施工アンカー1級の技術を使います。)

・免震構造は長周波に弱い。長周波は広域に被害

耐震の方法に免震設計があります。お墓の免震構造は地震の揺れと共鳴すると余計倒れやすくなります。
特に棹石と共鳴しやすい長周波の地震は、遠くまで地震の揺れが伝わり被害を大きくします。


【免震構造(低周波)】
本体を動き易くして地震の揺れを吸収する技術。
お寺の多層塔や超高層ビルで使われている耐震方法です。


【免震設計の共鳴(長周波) 】
免震構造は本体が動き易いので、地震の揺れとお墓の揺れとが
共鳴するとお墓に大きな力がかかってしまう。


長周波 = 周波数1秒以上の揺れ (広域にお墓の被害の多かった能登地震の場合 周波数1.5秒前後)

耐震に大切な基礎の考え方

あくまでお墓は基礎の中心に建てます。狭い墓所が多いので難しい問題でもあります。

2平方メートルの基礎に底面1平方メートルのお墓を建てる場合


お墓はあくまで基礎の真ん中。
墓所全体をコンクリートしてお墓を奥や横に建てないこと。


お墓を壁際などに立てる場合も、
基礎を変形してお墓が基礎の真ん中になるように。

重たい基礎は縦震でお墓を壊す可能性もあります。基礎の厚さには注意が必要です。
右図 基礎やそれぞれの石を玉突きの玉のように考えれば力が伝わる様子もイメージできると思います。また大きな物は小さな物を遠くへ飛ばすことも考慮する必要があります。下が重たければ倒れないという本来のお墓の構造と相反する動きなのでどう対応するか判断の難しいところです。
能登地震で、震源地から遠い被災者でも「最初にどすんときて、それから横に大きく揺れた」という証言があります。縦震は震源地から数十キロ離れたところでも大きく起きるようです。広域での対応が必要です。

耐震に一番大切なのは地盤の問題

実は耐震に一番大切なのはお墓の建つ場所の地盤だと思います。

(資料作成中)